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太田直樹のブログ - 日々是好日

テクノロジーが社会を変える

「食うに困るアーティスト」という表現を、過去の風変わりな比喩表現にできないか?

”クリエイター”なる人たちと中学生による「横瀬クリエイティビティー・クラス」に週末参加した。言い出しっぺは、映像クリエイターで、ストーリーのある独特の作品を創る田村さん*1。彼自身も含めて海外でアワードを取るウェブデザイナーやアートディレクター、ローカルメディアの編集者、ミュージシャンなどが、中学生とチームを組んで、町の課題を見つけ、クリエイションによって、気づきや行動を起こしていく。

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田村さんや彼の仕事仲間とは何度か飲んだりしているが、2日目の「制作活動」でスイッチの入った姿を見て、驚いた。課題発見のフィールドワークから、制作活動まで張り付いていた中学生達の目がキラキラしている。今回、高校2年の息子を連れていったのだけれど、ものすごい刺激を受けたようだ。「また横瀬に行く」と帰りに叫んでいた*2

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デジタル技術やドローンを駆使する彼らは、さしずめ「現代の魔法使い」だ。中学生の視点から見ると、駆使する技術だけでなく、風貌や言葉遣いも、周りにいる「普通の」大人達とちょっと違う。あるつぶやき。自分も絵が好きなんだけど、今まで「キョリ」を感じていた。親に「それで食べていけるの」と聞かれると、答えられないし。 

大手企業に勤めている町の出身者から、「機会の格差」「多様性の格差」を聞いた。中学校までは横瀬町。それから普通高校に行って、大学は経済学部。大手企業に入って、サラリーマンで都心暮らし。町と関わりを持ちたいけれど、何が出来るのか。そう言えば、音楽が好きだったんだけど。普通の一本道しか自分には見えていなかったかも。脇道があったなら。

そういった課題を、チーム毎に深掘りして、クリエイションにつなげていく。魅力的なアイデア、というかプロトタイプがいくつも出てきた。 

クリエイターの視点から、彼らにとってのモチベーションは何だろうか、と思う。田村さんは「流通革命」を言う。表現をしたい人と、それを求める人や参加する人との繋がり方。間に代理店が入ると、意図が曲がると言う。

 

話は少し逸れるけど、元GoogleのデザイナーのTristan Harrisが「意図の経済の破産」を言っている*3。広告という仕組みが、情報の作り手と求める人の間に入ることで、如何様にでも意図が操作できると。だから、文化もデザインもビジネスモデルも変革すべきだと。

そう言った中から、Patreonのようなクリエイターやアーティストとユーザーを直接つなげるプラットフォームも出てきている*4。サイトの最初にはこう書かれている。

Finally, ”starving” and “artist” no longer need to be joined at the hip.

イカしている。MITメディアラボの伊藤穰一さんが、AIが普通になったときの未来についてはなしていた言葉*5と通じる世界観だ。こういった世界が実現してほしいと思うし、その発端の一つが横瀬町ではダメという理由は何もない。

*1:最近の作品。http://wheelchair-dance.com/m/

*2:横瀬町は「ここさけ」の聖地でもある。http://www.kokosake.jp ちょうど、実写版のエキストラを募集していた。

*3:https://journal.thriveglobal.com/how-technology-hijacks-peoples-minds-from-a-magician-and-google-s-design-ethicist-56d62ef5edf3

*4:https://blog.patreon.com/top-earners-2016/ こういうのが広がるといいなあ

*5:http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/06/mit-ai.php すごく共感する記事