太田直樹のブログ - 日々是好日

テクノロジーが社会を変える

EdTechの現在地、300年の歴史が変わるか

少し前になるのだけれど、エコノミストで「未来の学び」という特集があった。副題は「テクノロジーと先生が学校を変える」。

www.economist.com

基本的には前向きな記事。現在地として、改めて確認できたのは。

・集団で教室に机を並べて教育を受けるシステムは、18世紀にプロシアで作られた。

・15億人が学校に行っているが、先進国でも新興国でも、このシステムは機能しているとは言い難い。

・この仕組みをテクノロジーを活用して変えようという最初の試みは、1953年にハーバード大のスキナー教授によってなされた。

・以来、何度かのブームがあったが、OECDの調査によるとIT投資と学力向上には、因果関係はない。

ただ、いまは変極点にいるのではないか。理由は二つあげられている。

・テクノロジーが、生徒とのやりとりを劇的に改善していること。

・先生と生徒の時間の使い方が、いくつかの学校で大きく変わってきたこと。

この流れの中で、投資家としてもっとも積極的なのは、ザッカーバーク夫妻。財団を活用して、10年で、未来の学びを全米に行き渡らせようとしている。

この先、課題は二つある。ひとつは、格差の拡大。未来の学びには、まだまだお金がかかる。もう一つは、脳の受容性。どうやら僕らの脳は、思考力を倍速で高めることには向いておらず、また、一定量の知識を入れておく必要があるらしい。これについは、研究が進むだろう。

さて、日本はどうか。EdTech関連のディール*1という点だけでみると、残念ながら「蚊帳の外」にいる。世界全体の投資額は四半期で数百億円レベル。シェアトップは米国で4割。続くのはインド*2の1割。ついで英国。

日本には「未来の学び」はやってこないのか。どこから変えていけばいいのか。(つづく) 

*1:いろいろなデータがあるけれど、新しそうなのをリンクしておきます。So Far in 2017, Pace of Investment Into Ed Tech Bouncing Back - Market Brief

*2:米国に比べて、Mindsparkなどのオンラインサービスが、圧倒的な低コストで良い成果を上げている。