太田直樹のブログ - 日々是好日

テクノロジーが社会を変える

気仙沼と金沢で、経営者とテクノロジーについて話して考えたこと

こんな感じでワークショップを入れて、2月の関西財界セミナーより双方向な場になった。気仙沼は2時間、金沢は1時間のプログラム。2時間はほしい。

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気仙沼での内容

日本は工業化社会でチャンピオンになって、情報化社会で敗戦した、さて次(Soceity5.0)はどうしたいか、という導入。マクロな話は、なかなか実感が湧かないのだけれど、ちょうど平成は情報化社会への転換期で、日本は時が止まったままだった。

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失われた30年

先日、パネルディスカッションでご一緒させてもらった石角さんの著書から「AIは難しくない」という話。「戦略をつくってから」「ビッグデータはどうするのか」などという前捌きが多い大企業と比べて、中小企業は素早く動くことができるはずだ。

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この石角さんの本はおすすめだ

ただ、企業は情報化社会で敗戦した構図を引きずっている。「丸投げ」からどうやって抜け出すのか。IT人材は引っ張りだこだ。地方に来てくれるのだろうか。

地域で、企業に寄り添って高速でテクノロジーを実装する、会津若松のデザイニウムの例。創業10数年の小さなエンジニア集団だ。この前田さんのコメントに、地域でデジタル化を進めるひとつの形があると思う。 

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前田さんのメッセージが素敵だ

気仙沼では、「ありたい未来」についてワークショップをやった。ここに込められた願いが、ひとつでも種火のように心に灯って、何かの行動につながることを祈っている。

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気仙沼のワークから「ありたい未来とアクション」

会場での議論から、こんなことを考えた。

「生態系」を育てていくこと

ユーザー企業からは、どうやってぴったりの企業を探すのか、ベンチャーに頼んで大丈夫なのか、という声がある。会津では、会津大学が仲介となっている。また、シビックテックのコミュニティも活発だ。

形は変わっても、ユーザー企業、大学、地域のIT企業、個人のつながり、こうした「生態系(エコシステム)」は、地域の意思があれば、少しずつ育っていく。大学が主催するハッカソンを応援する、シビックテックの集まりに参加するなど、できることはいろいろある。

北陸で言えば、シビックテックの活動は盛んだし、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)は「謎の国家研究機関」と言われるほどマイナーだけれど、とても尖った面白い人材がいる。また、今回お会いした経済界のリーダー、北陸電力の久和会長は、新幹線の話も多かったけれど、テクノロジーへの好奇心がとても強いと思った。こういう人たちが、個人として(組織や肩書を外して)根っこでつながり、北陸の未来を共に考える*1、というのは妄想でしかないのだろうか。 

気仙沼では「気仙沼まち・ひと・しごと交流プラザ」が、仮の施設から、この4月に移転・オープンした。これまで、活発な人材育成の活動があるので、いわゆる「ハコモノ行政」にはならないはずだ。唐桑には小学校の廃校を利用したオフィスにIT企業が集まってきている。ただ、デジタルについては、石巻や仙台など、広域でのつながりが生まれてくると、面白くなってくる。

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移転前のまち・ひと・しごと交流プラザ

こうしたことについて話をしたいと思ったら、ぜひ地域にいる地域情報化アドバイザーにコンタクトしてみてください。おすすめの面白い人がいます。

*1:根っこでつながり、集合知から描かれる未来の意図は、とても強度が高く、人と人の間で共有されていく。3年間、コクリ!プロジェクトというイノベーションコミュニティをやって学んだことだ。

kozatori7.hatenablog.com