Code for Japan Summit 2017に参加した。テーマはBorderless。本当に面白い人が集まっていて、長い時間居られなかったのが残念だった。テーマの通り、垣根を越えて、何かを創っていくことのワクワク感。会場のあちこちで、それを感じた。
例えば、80代でプログラミングを始め、「ひな壇」というゲームを作って、アップルのティム・クックに「どうしても会いたい」と、シリコンバレーに招かれた若宮さん*1。「歳を取るといろんなものを失っていく。プログラミングで何かを作ることは、ワクワクする」って、聞いている方もワクワクする。
若宮さんのプログラミングの師匠であるCode for Shiogama(塩竈市)の小泉さんとの、世代を越えたやりとりも、これまた楽しい。小泉さんは、若宮さんとの交流を機に、シニアプログラミングのコミュニティを立ち上げていて、歳をとると、Drug and Dropは手が震えて難しい、タップをすると「長押し」になる、などの「発見」を共有してくれた。UIのイノベーションがここから起こるかもしれない。
神戸市の久元市長のお話を、じっくり聞いた。草の根のイベントに、本当にリラックスした感じで参加されている。神戸市は、Code for Japanと組んで「コーポレート フェローシップ*2」というプログラムを実施している。民間から、エンジニアが市役所に入って、ホームページの改革など、いろんなプロジェクトを進めている。
また、神戸市は職員の「副業」を全国で初めて認めた自治体だ。外からはいろいろな懸念が言われているけれど、市の職員が、自然な形で町に溶け込むきっかけになりそうだ。久元市長は「義務感ではなくて、ワクワクすることをやってほしい」と話しておられたのが、とても印象に残った。
パネリストとしてご一緒させていただいた奥田浩美さんの、「自分ごとから始めて、両隣の人が、それいいよね、と言えばやる意味がある」という構え方は、とても大切だと思う。よく、「社会課題を解決する」と聞くけれど、課題解決をしている当人が疲れているということがないだろうか。
神戸市は、米国を代表するアクセラレーター、500 Startupsと連携*3して注目されている。奥田さんは、役所に入り込んで、そのプログラムを統括している。話を聞くと、200の応募から21の起業家が選ばれ、うち9名が女性という、米国でも例がないことが起こっている。
こういった流れは、3年ほどかけて、実は結構泥臭い営み*4の中で築かれている。越境する意味、ワクワク感を、久元市長はもちろん、地域のいろんな人が、いろんな場で、繰り返し話をしている。それは神戸のまわりまで広がっていて、いただいた名刺ですごく格好良いと思ったのは、表(裏?)がCode forで、裏が神戸市の近くにある某市役所、というもの。こんな行政マンが増えると、行政サービスや地域のイノベーションが起こる思う。
ふと周りを見れば、「壁」を作るぞ、という声が大きい。そんな中で、Borderlessをワイワイガヤガヤの中で考えるこのサミットはたまらなく素敵だ。
*1:82歳のおばあちゃんは、Appleが認めた開発者。その人生観が深かった…
*2:ヤフー×神戸市などがコラボ! 行政に飛び込んだITエンジニアが地域創生を加速する! | CAREER HACK
*3:500Startupsと連携 神戸は「日本のシリコンバレー」 | 月刊「事業構想」2017年6月号 記事ににこやかな笑顔で載っている多名部さんは、神戸のキーマンのひとり。
*4:キーマンの一人、創造都市推進部ICT創造担当部長の松崎さんの本が、もうすぐ出版される。https://www.amazon.co.jp/シビックテックイノベーション-行動する市民エンジニアが社会を変える-xtech-books-NextPublishing-松崎/dp/4844397990