太田直樹のブログ - 日々是好日

テクノロジーが社会を変える

アップルがさらに仕掛ける異業種格闘技


アップルが携帯電話に参入。2008年には世界10億台携帯市場の1%にあたる1000万台を狙う。今年の年初はこのニュースで大いに盛り上がりました。まずは下のウェブサイトでiPhoneのインターフェースと体験してみてください。

http://www.apple.com/iphone/

iPhoneがどれだけ売れるかまだ未知数ですが、ノキアモトローラといった既存事業者を飛び越えたイノベーションがもし当たれば、携帯先進国と言われた日本の携帯電話メーカーのほとんどを抜き去る存在になります。

クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」理論で考えてみると、アップルの戦略は次のようになるでしょう。

製品の効用がユーザーのニーズを下回る状況では、垂直統合型で製品を仕上げてくるプレーヤが優位です。ノキアはOSやチップまで内製していますし、また日本では異なる形で通信事業者(特にドコモ)が自らが投入するサービスに合わせて端末の仕様を決めてきました。

しかし、そろそろ従来製品の効用が、そのほとんどは高機能化ですが、ユーザーが使いこなせるレベルを超えてきているように思います。ジレンマ理論では、この状況では大きく2つの戦略的な変化が起こります。

�@従来とは異なる効用、あるいはコスト競争力をもつ破壊的なイノベーションが登場する。このイノベーションは既存事業者のバリューチェーンと相性が悪いことが多く、それら事業者はジレンマに直面する。
�Aバリューチェーン垂直統合型からモジュール型に変化し、ユーザーの不満がもっとも集中するところで強力な水平分業型プレーヤが登場する。

�@についてまず見てみましょう。iPhoneは革新的なインターフェースを売りにしています。機能アップより使い勝手重視ということですね。さらにデザインの面でも洗練されています。また、別の競争の仕方としては40ドル携帯がインドなどBRICsで登場しつつあります。iPhoneの10分の1以下の値段です。

�Aについてはどうでしょうか。ユーザーが不満を感じているとこはいくつかあるでしょう。例えば端末の破損や紛失。米国ではアシュリオンというベンチャーが、月々数ドルの保険料で紛失や水濡れに際して、48時間以内に同じ携帯を届けるというサービスで1千万以上の契約者を獲得しています。

他には充電ですね。これは瞬電(瞬間的に充電すること)技術が開発されています。例えば、瞬電のプラットフォームを街中につくって充電時に情報配信などを行うと面白いサービスができるかもしれません。

今年の2月にはLGがPRADAと組んで、iPhoneよりも早くタッチパネルインターフェースの携帯電話を投入します。

ニュースが聞こえてくるのは海外ばかり。日本の携帯メーカーの奮起を期待したいところです。