太田直樹のブログ - 日々是好日

テクノロジーが社会を変える

GEの到達した境地

先月と今月の『ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー』に興味深い論文があります。まずは、同誌9月号で、GEのCEOであるジェフリー・イメルトが語る「有機的成長のプロセス」です。

GEといえば「シックス・シグマ」がよく知られていますが、「シックス・パート・プロセス」と名づけられた成長プロセスのフレームワークは、私にとって非常にショッキングなものでした。うーん、くやしいほどよくできています。

世の中には陳腐なフレームワークが(自戒もこめて)ごまんとありますが、イメルト氏のコメントを読みながら見るとうなることしきりです。これについてはまたどこかで掘り下げてみたいと思います。

でもGEだしなあ、こんな芸当は他社ではなかなか・・・などと思っていると、10月号で米国の新興小売業であるホーム・デポに、GEからCEOが乗り込んで変革したストーリーが載せられていました。

GE出身の新しいCEO、ロバート・ナーデリが、オーナー経営で自由奔放な企業文化で知られるホーム・デポで行った変革は4つです。
�@業績評価指標
�A業務プロセス
�Bリーダー研修
�C組織変革

論文中にも書かれていますが、これは「何の変哲もない」手法ですよね。しかし、今の時代の経営はココが本質だと私も思います。実際、ここ数年私が手がけているコンサルティングも、突き詰めると上の4点を根付かせることに集中しています。

組織ピラミッドの頂点で、紙の上でよく出来た「中期計画」を作り、それを現場が実行する時代はとうに終わっています。ちなみに中期計画策定に使われるコストは、経営企画部門の稼動の10倍から15倍です。つまり、企画部門が事業部門に計画立案に必要な「仕事」をつくり、氷山の下に大きなコストが発生しているわけです。

これから勝つのは、市場の変化を現場で敏感に感じ取り、スピーディーに変化しつづける組織です。ただ、テキストを読んだからといっていきなりスポーツができるようにはならないように、イメルトやナーデリがいう「反復可能」なレベルまでプロセスを磨き上げるには不屈の情熱と努力が必要です。

「指標」とか「プロセス」などと言うと面白みのない組織をイメージしがちです。よくGEについてもそのように言われますよね。でも、上のホーム・デポの事例でも書かれていたように、現場が生き生きと動き、様々な武勇伝が生まれるのです。