太田直樹のブログ - 日々是好日

テクノロジーが社会を変える

意地くらべ

さん喬の「意地くらべ」をTVで観ました。去年、権太楼とのふたり会で観て以来でしたが、登場人物の多いこの噺を、自然に演じわける芸にはほれぼれします。

無利息、無期限、無担保で金を貸してくれた恩に感激した辰さんは、1ヶ月で返すと心に決めますが、どうにもこうにも暮らしは楽になりません。このままでは男が立たないと、知り合いの吉兵衛のところで無理を言って金を借り、先方に返しにいきます。しかし、先方では、「都合のいいときに返してくれと言った」ということで、受け取りません。仕方なく、吉兵衛のところに戻しにいきますが、そこでも「受け取らない」との返事。お互い意地を張って、最後には・・・

解説で面白い話がありました。辰さんが「自分で自分が許せねぇ」というくだりがあるのですが、この部分でこの噺が明治以降のものだと分かるということです。つまり、「近代的自我」というやつですね。

江戸時代であれば、「おてんとさまに申し訳ない」とか「世間さまに顔向けできねぇ」などになります。

面白いなあと思いながら、子供をつれて本屋をぶらぶらしていると養老孟司の「無思想の発見」という本を見つけました。「近代的自我」について考察した本です。こういう出会いはアマゾンでは難しいですね。この本については、また後ほど。