太田直樹のブログ - 日々是好日

テクノロジーが社会を変える

マーケティングの本質−松下電器CTOとの議論

新しい商品の開発について、松下電器の元CTOで、現在常勤顧問をされている三木さんと、何度か興味深い議論しました。

昔は、アメリカのホームドラマが発想の源泉だったんだよね。今問題なのは、それに代わるものがないこと。今こそ開発者の想像力が求められる。

よく「プロダクトアウトではなく、マーケットイン」と言いますが、技術者である三木さんが、技術で何ができるかではなく、暮らしの中で何が必要なのか想像する、という視点を力説されていたのが記憶に残っています。ちなみに、三木さんは、30年ほど前に書いた技術トレンドが、80%以上的中したそうです。

ただし、課題の本質は、その「暮らし」の想像力について、日本企業のマーケターは真剣に取り組んでこなかった、という点です。しかし、これだけモノが溢れている現在、いよいよ自らの想像力を鍛えないと、本当に求められる製品は開発できません。

考えてみると、ドラマのひとつの絶頂期は、バブル時代の「トレンディドラマ」であり、それ以降、「こんな暮らしがしたい」というメッセージは、ドラマの中には読み取れないように思います。片や、企業のパビリオンに足を運ぶと、「本当にこんな生活をしたいのかなあ」と首をかしげるものが多く、リアリティをもって我々に迫る「暮らしのビジョン」には、なかなか出会うことがありません。

10年後、我々はどんな暮らしを送っている、あるいは送りたいのでしょうか。