太田直樹のブログ - 日々是好日

テクノロジーが社会を変える

地域で、新しい学びに向けて動き出していること

新型コロナウイルス感染症が広がる中で、多くの地域で学校が休校になっている。教育を止めないために、教育関係者や行政は対応に追われている。そうしたピンチをチャンスに変えるヒントになる、地域における活動の最前線をご紹介したい。

新教育課程の発端の一つになった海士町が目指す5年後の姿

隠岐島前高校と連動している公営塾「隠岐学習センター」の豊田庄吾さんが発起人となって、公立塾スタッフ・小中高教員・行政・地域住民・生徒がともに考え、映像作品として生徒自らの手で作り上げた映像が出来上がった。

探究型の学びの最前線がどこに向かっているのか。高校生に大人がどう関わっていくのか。3つの物語が、公教育の可能性を描いている。映像を通して、生徒の学びはもちろん、先生方や地域の住民の方の、生き生きとした変容が描かれているのが素晴らしい。

youtu.be

高校と地域をつなぐコーディネーター人材の明日

島根県から広がった高校魅力化の鍵となる「コーディネーター人材」は、全国に約150人となった。島根大学には育成講座もあり、全国のネットワークも生まれている。

この動きを持続的なものにする検討が、地方創生のキーマンである小田切徳美さんを座長に文部科学省で進められ、このたび報告書がまとまった。僕も委員として参加させていただき、島根県以外にも創造的なやり方があることを学んだ。公民館主事が学校に主体的に関わっている飯田市、地域おこし協力隊だけでなく、地域おこし企業人や地域創造アドバイザーを立体的に活用している岡山県和気町*1

様々なやり方がある中で、この報告書はこんな疑問に答え、実行につなげていくことを狙っている。

  • そもそもなぜ、高校が地域と協働しないといけないの?
  • どんな状態を目指していけばいいの?
  • 自分たちの高校・地域に必要なつなぐ機能ってどんなもの?
  • どんな人が高校と地域とつなぐ役割を担っているの?
  • コーディネーターを配置したいけれど、使える制度ってあるの?

今年度以降も地域における協業体制(コンソーシアム)の構築とコーディネーター人材の配置を後押しする事業が続くので、ぜひご活用いただきたい。

www.mext.go.jp

年末に、北陸のある自治体から連絡をいただき、魅力化についてお話させていただいた。その後、北陸にも感染症が広がる中、新しい学びに向けてコンソーシアムを設立したと先日連絡をいただいた。市町村にとって、県立高校は遠い存在だ。なかなか高校を起点にして地域の未来を描くことは難しいかもしれない。海士町における公教育への政策投資を評価したこのレポートも合わせてご覧いただきたい。

kozatori7.hatenablog.com

f:id:kozatori7:20200419173909p:plain

「高校と地域をつなぐ人材の在り方に関する研究会」報告書のイラスト