会津若松の秘密(のごく一部)
データ駆動社会の例として、会津若松市の例をよく取り上げている。同市には年間300人以上の視察がある。でも、知ることと出来ることには隔たりがあって、実は会津若松にはいくつか秘密がある。
- 市の情報政策課で徹底的に鍛えた人材が行政サービスを担当する課(市民課、健康増進課など)に10年以上に渡って送り込まれている。
- 情報政策課が開かれている。具体的には会津大学の先端ICTセンターの2階に分室があって、ここでは市民や企業との交流がある。
これはいい!
いや、こんなことは当市で直ぐに真似出来ない。確かに。そこでご紹介したいのが「データアカデミー」という取組みだ。
これは端的に言えば、行政のサービス部門がデータ利活用について学ぶプログラム。ただ生まれがシビックテックなので、地に足がつきながら、とてもイノベーティブだ。
まず、データアカデミーをやると、こんな感じに変わっていく。Code for Japanの市川さんを中心にしたチームに「これはいい!」というフィードバックが多数寄せられている。噂を聞きつけて、企業向けに実施してほしいという要望も出てきている。
データアカデミーがスタートしたのは、シビックテックが進んでいるサンフランシスコ。2014年度に80名の職員が受講し、3年後には600人まで拡大している。
日本で最初に取り入れたのは神戸市だ。2013年に神戸市長に就任した久元市長は、テクノロジーの活用に積極的で、2015年のアメリカ視察でサンフランシスコやCode for Japanを視察。Code for Japanの関さんをチーフ・イノベーション・オフィサーに迎え、2016年度に神戸版データアカデミーを導入する*1。
この取組みのインパクトに気づいた総務省の若手官僚が、2017年度に国の事業として予算化。Code for Japanが事業請負の中心となって、11の団体・地域でデータアカデミーを実施している。
「様子見」から「宝の発掘」へ
「データは21世紀の石油」というのは、一部の大企業だけの話ではなく、行政や市民全てにインパクトがある。そして石油と違って「どこでも出てくる」。しかしデータという目に見えないものは、とっつき難いし、扱える人材は大都市に偏重していて、地域にとって大きな転機になりうる「官民データ活用推進基本計画*2」は2018年4月現在で、ほとんどの地域で様子見だ。
データアカデミーは、データ活用の一部ではあるけれど、手触り感を持って進める駆動力を生み出す。どのようなアクションがあるだろうか。
<行政>
・総務省の事業*3に手を挙げる→まずは地域の総合通信局へ
・中核市以上*4であれば自ら予算をとる
・都道府県の取組みとして予算をとる
<企業>
・IT企業であれば、データアカデミーを実施
・金融、小売、医療・介護、交通などの企業であれば、データアカデミーに参加
*1:詳しくはこちら。データ活用で自治体が変わる?データアカデミーの全国展開がスタート! | Code for Japan
*2:官民データについて。3分で分かる「官民データ活用推進計画」 - 太田直樹のブログ - 日々是好日
3分で分かる「官民データ活用推進」の滑り出し - 太田直樹のブログ - 日々是好日
*3:データアカデミーが定着するまで、平成29年から3年間くらいやると思います。
*4:国の事業は時限的・限定的なので、中核市以上であれば、神戸市のように自らの予算で進めても十分説明可能だと思います。