今月始めに大臣補佐官を退任*1して、しばらく地方をぶらぶら回ろうと考えていたら、とても興味深い記事*2を見つけた。起業のエコシステムが出来つつある20の地域の事例だ。
「地方には余白しかない*3」という、トーマツベンチャーサポートの前田さんの言葉が、とても印象に残る。
この事例分析と、自分が関わっている地域との比較から、いくつかの問いとアクションが見えてくるかもしれない。
例えば、会津若松市。
会津大学は学生あたりの起業数では、確か全国1位だったと思う。また、このブログでも何度か取り上げているように、4年前から「日本のメディコンバレー」「日本の1000分の1スケールの実証フィールド」を標榜し、スマートシティ構想を推進している。
僕自身、何度か足を運んでいるけれど、「コミュニティデザイン」という観点では、まだまだ出来ることがあるように思う。また、現地の起業家と話していると、法人登記などのインフラ面のコストがまだまだ高い。
あるいは、地方創生のフロントランナーとしてよく取り上げられる島根県海士町。
移住者も多く、島前高校の成功事例があるが、同規模の西粟倉と比べて、起業については伸び代があるように思う。「知の集積」や「投資家」といった観点で、海士町に合った取組みでできることがありそうだ。
こうした地域が、国内で数十から百くらい出てくる近未来の兆しが見えている。とても楽しみだ。
*1:8月3日の内閣改造による高市総務大臣の退任に伴い、私も退任しました。2015年1月から2年7ヶ月の在任でした。
*2:ちなみにこの記事は、経済産業省と日刊工業新聞のコラボレーションによるもの。経産省はMETI Journalというオウンドメディアを今年から展開している。日刊工業新聞社の明さんによると、記事はかなり「自由に書いている」らしいが、おそらく取材や情報提供で経産省が協力しているのだろう。記事に厚みがある。
*3:少し文脈は逸れるのだけど、ソトコトの指出さんの言う「関わりしろ」という捉え方にも共感する。ソトコト編集長に聞いた!若者がローカルに興味を持つ理由は「関わりしろ」 - イーアイデムの地元メディア「ジモコロ」考えてみれば、90年代から2000年代にかけて、経済産業省で「産業クラスター」振興の取組みがあって、明確な成果が出ていないが、ここであるような、国主導ではないところで、若者が動き出したという構造的な変化が重要なのではないか。