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日々是好日

テクノロジーが社会を変える

どん底の会社を救う 〜 大企業経営者の行動規範


NHKのプロフェッショナル仕事の流儀のアンコールで弁護士村松謙一氏の放送を見た。村松氏は瀕死の会社−大企業から町の中小企業まで−を100社以上再建した人物である。その仕事に対する真摯な姿勢に心が打たれた。そして、生き方が胸にぐっときた。
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/090127/index.html

再生請負人として現在はバリバリ仕事をしている村松氏の人生における苦悩は並のものではない。大企業の再生案件で自信をつけ、独立して脂が乗っているころ、顧客の中小企業の経営者が自殺する。そして、しばらくして、病で娘さんを亡くす。

その後、3年ほど、仕事がまったく手につかず、呆然としながら過ごしたという。そして、あることをきっかけにまた仕事に打ち込む日々を過ごしている村松氏の重い黒鞄の中には、その経営者の遺書と娘さんが亡くなる前に書いた作文がいつも入っている。

その悲しみをどうやって乗り越えたのか、という茂木さんの問いに、村松氏は、乗り越えてなんかいない。時間が経つにつれて心にかさぶたのようなものが出来て、何とか一緒に歩いているという。

村松氏のところに相談にくる経営者は、憔悴し、切羽詰っている。迷いの中にいる経営者は、相談にきても、結局依頼しないこともある。それでも村松氏は、休日オフィスに出て、来るかどうか分からないクライアントのために、100%の準備を怠らない。依頼が来たらすぐに動けるように、という「流儀」があるからだ。

すごいことだと思う。自分の場合はどうか、と夜中に自問自答した。

村松氏のクライアントは、市場での競争から脱落した企業である。トップを走っている企業はいい、と言う。逆に私のクライアントは、フロントランナーだ。しかし、それらの企業も悩んでいるし、世の中へのインパクトはとてつもなく大きい。

大企業に、いま一番必要なものは何かと問われたら、「行動規範」だと私は答える。大胆な戦略や、強靭な組織も必要だが、この経済危機の中で、様々なステークホルダーについて考えながら、どのような決断を下すのか。揺るぎない「規範」が必要だと思う。

昨年末から、EconomistやWSJを(Podcastで)聴いているとGreed(欲)とEthic(倫理)という言葉が頻出している。大企業の経営者も、切羽詰った中で、迷いの中にいる。

今月のダイヤモンド・ハーバードビジネスの特集は「人を動かすリーダーシップ」だ。つらつら読んでいると、経営者のプロフェッショナル化を提案する論考があった。
http://www.dhbr.net/magazine/article/200902_s09.html

弁護士や医者などのプロフェッショナルは、資格が必要であり、生涯スキルを磨き続けることが求められる。そして高度な職業倫理の元で仕事をする。経営者にもそれが求められるのでは、という議論だ。「経営者版ヒポクラテスの誓い」の試案が論じられている。

大企業が軒並み厳しい決算を発表している。リーダーとしての真価が問われる時代だ。