太田直樹のブログ - 日々是好日

テクノロジーが社会を変える

South Californiaのラーメン職人

土曜の夜、LAに着いた。アテネからミュンヘン経由で15時間。どっぷり疲れた。アテネでの仕事は、年1回のBCGのテクノロジー・メディア・テレコム(TMT)グループの会議。成田から夕方にバンコクに飛んで、夜行便に乗ると早朝にアテネに着く。こちらは20時間ほどの移動。

TMTミーティングで印象に残ったのは、まず、欧米ハイテク企業がいよいよ本格的に新興市場に向けて体制を作っていること。大胆にR&D機能や本社機能の一部をインドなどに移して、人材獲得、イノベーションに本腰を入れている。普段日本企業と話していると、うちはそんな大胆なことは・・・リスクを考えると、というような議論になる。

確かに紙の上の議論ではそうなることは想像に難くない。欧米企業がどうしているかと言えば、根拠のない無謀なリスクをとっているというのではなく、経営トップが頻繁に新興市場に訪れている。リーダーが新興市場について肌感覚を持たないと、ここで勝つことは難しいとつくづく思う。

もう一つ思ったのは、アジアはモバイル一色であること。先進国市場では、BTやNTTなどがNGN(Next Generation Netowrk)の構想をぶちあげているが、新興国のキャリアはモバイルサービスの高度化に本気で取り組もうとしている。モバイル先進国の日本企業にはラストチャンスだろう。ガラパゴス化と言われて終わるかどうか正念場だなあと感じた。

LAに着いたのは夕刻過ぎ。入国審査官が話好きで、どんな仕事をしているのかなどと聞かれ答えると、自分は日本企業で働いているという返事。?と思っていると、ソニープレイステーショントヨタのカムリと、家の中は日本製品だらけだ。日本企業のために働いているようなもんだ、と言われる。日本企業もまだまだ存在感があるんだなあ、などと思いつつホテルに投宿。

アテネでは重たい飯が多かったので、ラーメンでも(!)と思ったが、評判の山頭火ラーメンはもう閉店している。ネットで探して訪れたのが、Gardena Ramenという、米国トヨタの広大な敷地の近くにあるこじんまりした店。時間が遅いのか、客が1人もいない。

店に入ってみるとメニューはなく、店主から壁を指されたので見てみると、醤油ラーメンと味噌ラーメンしかない。醤油ラーメンをオーダーした。

待つこと10分。ラーメンが運ばれてきた。スープを口に運ぶ。

うまい。丁寧にスープをとっている感じがする。正直あまり期待していなかっただけに(失礼)疲れた身体がなんだか温まるような心持ちだ。麺が少し多めだったが完食した。ありがとうございました。


ホテルに帰るタクシーを待っている間、店主と少し話した。メニューが二品なので、なかなか商売が大変だといこと、メニューを増やして人を雇うとラーメンの質が落ちる、というようなことを聞いた。ラーメンが本当に好きなんだなあ、と思った。

日本は三連休で、我が家はまた父親不在だ。

移動中、時折家に短い電話を入れる。ふと、糸井重里氏のゲーム、MOTHERを思い出した。このゲームでは父親は電話でしか出てこない。ゲームをセーブするときに「パパ」に電話をすると、敵を倒した分のお金が振り込まれる。長い時間ゲームをやっていると電話がかかってきて、「つづける」を選択すると「そうか。地球の危機だからな」などと言う。なんだか、自分の状況に似ているなあとぼんやり思う。

「MOTHERの気持ち」というコラムで、糸井氏はMOTHER開発は、離婚のため娘と離れて暮らしていたことがひとつのきっかけになったと後に語っている。娘さんが大きくなって、あるとき糸井氏に送ったメールの最後に「ガチャン ツーツーツー(ゲーム中の効果音)」と書いてあったそうだ。