太田直樹のブログ - 日々是好日

テクノロジーが社会を変える

もはや大国ではない

洞爺湖サミットが近づいていろんな特集が組まれています。恐らく今回のサミットで明確になる、あるいは実感されるのは、もはや少数の大国のリードで世界の問題を解決するのが難しいということ。

もっと言えば、日本はもはや大国ではない、ということでしょう。

以前にも書きましたが2050年には、中国、インド、ロシア、トルコの16世紀時代に覇権を握っていた4帝国が、世界の経済の半数近くを占める時代がきます。2050年とは言ってもそんな先のことではありません。今の子供達がリーダーになる頃です。

グローバル化の本質とは?>
http://blog.goo.ne.jp/kozatori7/s/%A5%C8%A5%EB%A5%B3

ですから、どんなに強力な人が首相になろうとも、この大きな流れの中では従来のやり方でリーダーシップを発揮することは難しい。発想を変えないといけません。この流れは国だけでなく、日本企業、ひいては個人にも影響するでしょう。これからは「大国発想」ではなく「小さくてもピリリと辛い」小さな国、例えばシンガポール、オランダの取り組みなどから、国、企業、そして個人も発想を得るべきです。

しかしここで気をつけなくてはいけない「ねじれ」があります。

日本は経済大国の地位からゆっくりと滑り落ちていきますが、東京という都市はそうではない。国連の統計によれば2000年の世界第一の都市は東京です。そして、2015年には・・・

依然、東京が世界第一の都市なのです。ちなみに先進国の都市で、2015年のトップ10に入っているのは、東京のほかに第7位のニューヨークです。

おそらく東京で生活していると、なかなか日本の凋落を感じないのではないでしょうか。

これは東京と中部関西で半々の生活を送っている私の感覚値ですが、中部関西の企業の方が、発想を大胆にシフトしているように思います。

先日、ISLの野田さんに頼まれてシンガポール国会議員の方にお会いしたのですが、英語を自由に操るのはもちろんのこと、中国やインドといった大国についての現場感あふれる分析、アジアの位置づけについての洞察など、言語能力だけではない、国際社会で生きてく地力の高さを実感しました。

ここでポイントになるのは「現場感」です。ネットは世界の隅々までつながっているように思いますが、実はネット人口は世界人口の2割に満たない。ネットに閉じこもっているのではダメです。若い人達や子供達には、もっと外に出て力をつけてもらいたいと思います。

・・・と言いつつ、BCGの若手の育成や自分の子供の教育ではなかなか悩ましいこともたくさんあって、そんなに簡単にはいきませんが、まあ、ぼちぼちでも少しづつ前へ、というところでしょうか。