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日々是好日

テクノロジーが社会を変える

しずむ寿司@はしぐち


今日もまた終電の新幹線で帰宅(@東京)。晩飯は駅近く、ひとりカウンターで寿司をつまむ。ふと気がつくと、何と3週間も寿司を食べていないではないか・・・。みっちり予定表に詰まった仕事に加えて、熱やら痔やら虫歯やら、艱難辛苦の日々であったとはいえ、こよなく愛する寿司を忘れるとは。

原因は分かっています。

3週間前、お世話になっている人を招いて久し振りに「はしぐち」に行ったのでした。相変わらず静かに、しかしキリっとした佇まいで迎えてくれるご主人。カウンターに座って見上げると、「お久し振りですね」と一言。

一時期、はしぐちにはよく通いました。

すぐに握ってもらいました。相変わらずグローブのような大きな手です。マコガレイの甘み、カスゴのほのかな香り、コハダの〆具合、赤貝の香り・・・。今思い出してもため息がでます。

トンと目の前に寿司が置かれると、ふわっと寿司がしずみます。その意味は食べると分かります。すかさず口に運ぶと、ぱらぱらぱらと酢飯が口の中でほどけていくのです。いろいろと凝り固まった何かも一緒にほどけていくようです。

『握りの真髄』という本に、すきやばし次郎、おけい寿司、はしぐちの三職人が握りが語られています。その中に当時39歳の橋口さんのこんな言葉があります。

「おいしくなれ、おいしくなれと握ります。」

あの大きな手から、こうして素晴らしく繊細な寿司が生み出されるのでしょう。

はしぐちの寿司を、インパクトに欠けると思う方もいるかもしれません。それほど、すーっと胃の中に納まっていくのです。しかしそれが何とも心地よい。

久し振りにはしぐちに伺ったのですが、以来、寿司を食べたいなあと思っても、ついここを思い出して辞めてしまうのです。わたしはそれほど通うことはできませんが、池波正太郎が松鮨に送った言葉を思い出しました。

松鮨(わたしにとっては、はしぐち)と同じ時代に生きていて、ほんとうに良かった。