アドバンテージパートナーズの笹沼さんから教わったことは、公私にわたってたくさんありますが、ひとつだけ学べなかったのは計画性です。
「いいかい太田君。10年先にどうなっているかをまず考えるんだよ。すると3年後、1年後はどうなっているかが分かる。そして3ヵ月後を考える。そうしていけばたいていのことは達成できる。」
と、笹沼さんは最上のスマイルで、大学を卒業したばかりのわたしに教えてくれたのを憶えています。実際、笹沼さんはその言葉どおりに次々と偉業を成し遂げています。
しかし、今、わたしには計画というものがありません。わたしを知る人の批判を承知で言えば、敢えてそうしています。
なぜか。考えてみると、ひとつには、20代の頃から、半年後どうなっているか分からない、クビになっているかもしれない、会社もなくなっているかもという日々を送り、先を考えるとビビってしまう、ということがあります。そして、それと矛盾するようですが、先々を考えると、自分も大きなことを成し遂げたい、とちっぽけな自我に振り回されて、挙句に何も出来ずに落ち込んでしまうということもあります。
そうしてわたしは、先の目標も展望もまったく持たず、できるだけ今日、そして段取りが悪いので明日、ひどいときには昨日はどうだったのかという近視眼でこれまでやってきました。
でも、だんだんと歳をとってくると、さすがに目標をもたないとまずいかなあ、と思い始めています。その矢先・・・
「遠くを見ない。明日だけを見る」
と、『プロフェッショナル 仕事の流儀』で、坂東玉三郎さんが言っているのを観て、はっとしました。
玉三郎さんの境地やレベルとは比較すべくもありませんが、少しでも明日は前に進もうという積み重ねでいいやんか。そういうメッセージが聞こえました。
というわたしも、相手によっては上の笹沼さんと同じことを言ったりもします。人それぞれ生き方があると思いますので。
気がつくと、いろいろ教えてくれた当時の笹沼さんの年齢を超えました。やっぱり計画性をもった方がよかったかも・・・