わたしの属するBCGには「アルムナイデー」なるものがあります。我社には、グローバルで約9,000名の「卒業生」がいて、10月第1週の木曜日に世界中のオフィスでイベントが開かれます。日本のアルムナイは約400名。うち、100名以上の方が参加されました。
開会の挨拶のあと、日本人採用第一号である、ミスミ社長の三枝さんが前にでました。今年は、BCG創立メンバーの1人で、東京事務所を設立したアベグレンさんが残念ながら亡くなりました。三枝さんは「偲ぶ会」でBCG卒業生を代表して追悼文を読まれたのです。
その追悼文を、会場でもう一度読んでいただきました。
最後のあたりで、日本の経営(アベグレンさんは名著『日本の経営』でも知られています)はこの20年ですっかりだめになってしまったが、最近の若い人達にはハングリーさが戻りつつあり、きっと彼らが新しい日本の経営をつくるだろう、それを天国でまた本にしてください、というようなくだりがありました。
そして、追悼文を読んだあと、三枝さんが「ここにいる現役のあなた達のことを想って、ここのところを書きました」という挨拶があったのです。
本社ですら30名ほどしかいなかったときに、第2のオフィスとして東京を立ち上げたアベグレンさん。コンサルタントがまだ怪しい存在で、転職が普通でなかったときに、日本人として初めて入社した三枝さん。日本の経営やリーダーに強い危機感をもっている人です。
そのような偉大な先達から、「バトン」はわれわれの手にしっかり渡っているでしょうか?
貪欲に、リスクをとってチャレンジしているか?
わたしがいまお手伝いしている企業では、それぞれ過去の成功体験に囚われず、リスクをとって新しい取り組みを進めています。それに応える仕事ができているか?
アルムナイデーの会場を後にしながら、三枝さんの質問を、もう一度、こころの中で発してみました。