今月号のダイヤモンド・ハーバードビジネスの特集は「脱」管理主義のリーダーシップです。冒頭で編集部からの言葉として「C&C(Comand&Control)からE&E(Enpower&Encourage)へ」と、そのコンセプトが一言でまとめられています。
ただ、注意しなくてはいけないのは、同じく冒頭でも述べられている通り、例えば、何でもかんでもEnpowermentではない、ということです。そのような小手先では新しいリーダーシップのスタイルは作れないでしょう。
集められた論文の中では、MITの教授陣が大規模な調査を行った「完全なるリーダーはいらない」と元GEのラリー・ボシディ氏の「CEOコンパクト 上司の期待と部下の期待の両立」が、なかなか対照的で興味をひきました。
前者は、いろいろ調査した分、説得力はあるのですが、言っていることが「人間関係を築く」とか「ビジョンを描く」とかで腹落ち感に欠けるところがあります。
ボシディ氏の「CEOコンパクト」は、一読すると体系がなく、キレもいまひとつなのですが、再読すると味わい深い。なるほど、修羅場をくぐったリーダーの経験に裏打ちされた重みがあるなあ、と思うのです。
16項目もあるので2、3紹介するとこんな感じです。
�B部門間のコラボレーションを奨励する
<しかし、三ヶ月経っても、何も変わらなかった。私は再び二人(筆者注:マーケ部門と製造部門のトップ)を呼び出し、「二人とも優れた手腕の持ち主なのに、互いに協力しないせいで会社に悪影響を及ぼしている」と叱り、その場で退任条件を示した。(中略)二人の社章を引き取って、会社の外に連れ出した。>
おざなりのコラボレーション論よりは、致命的だと思ったらここまでやる、というリーダーの気迫が伝わってきます。
�F予測する
<ある時、彼はコンサルタントの協力を得ながら、二、三年後の事業動向を徹底的に分析した。ところが、見事な報告書が完成したことですっかり満足してしまい、その後は外的環境への興味を失い、結局元の木阿弥だった。そんなこともあって、私は彼と会議で顔を合わせるたび、冒頭の20分間で将来を予測させることにした。>
いくつか異論はありますが、これも通り一遍の話ではなくて実践的ですね。
�H逆境にあっても手腕を発揮する
<追い風が吹いている時であれば、これまで紹介してきたリーダー人材に期待される行動は、さほど難しいことではない。(中略)市場環境が順調な時に事業を躍進させ、予測を上回る業績を上げ、優れた人材を魅了するマネジャーはたくさんいる。ところが、ひとたび逆風が吹き始めると、周囲のモチベーションを前向きにさせる力にかげりが見え始め、当のリーダー人材も自信を喪失してしまう。>
これも好業績をなかば義務付けられていたGEのリーダーならではの言葉ですね。個人的には、このくだりがいちばん心に突き刺さりました。
そういえば、先日、ダイヤモンド・ハーバードの岩崎編集長と話をしていて、「グローバル戦略」について少し書いてみることになりました。年初から暖めていたアイデアですが、何分詰めきれておらず、相当な産みの苦しみが予想されます。
が、貴重な場を与えていただいている岩崎さんには感謝しています。
グローバル競争の大波
http://blog.goo.ne.jp/kozatori7/e/b3e8c0b5e97969d8270937efbc6d2ca3
キーワード:大陸級
http://blog.goo.ne.jp/kozatori7/e/62c7158e1c83bf40eb59a02fa70ee936