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日々是好日

テクノロジーが社会を変える

欧米型社会起業家と「一隅を照らす」こと


NYで活躍する写真家、渡邊奈々さんが18人の社会起業家の写真を撮り、話を聞いて作った本です。写真家の眼でとてもいきいきとした描写で書かれており、わたしたちの社会が変わるかもしれない、という希望を感じさせます。ただ、ちょっと待てよ、と思うところもあるのです。

「チェンジメーカー」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822244644

あとがきで慶應SFCの金子教授は、
<わたしたちに「新しい生き方」を提示してくれる。>
と述べ、社会起業家の特徴は、
・社会の問題や矛盾に対し、「私がやろう」という行動力をもち
・冷静かつ現実的なアプローチで問題に対するソリューションを提供し、
・非営利組織である強みを最大限活かす
人達である、とします。

わたしが感じる「違和感」はどこにあるのか。

告白すれば、まず、これらの条件をわたしが満たせそうにないことです。情けない話ですが、今の職を投げ打って社会を正す活動に飛び込んでいく勇気がありません。

各章の最初の頁は「チェンジメーカー」のポートレートですが、ひとつ感じることがあります。全員ではありませんが、どこか「傲慢さ」、今風(?)で言えば「セレブっぽさ」を感じるのです。金子教授はあとがきで「誠実さのオーラがでている」と言っていますが、もし何十枚かのポートレートがあって「誠実そうな人を選べ」と言われたら、わたしは本書の登場人物を選ぶ自信がありません。

会ってもいないのに、主観でこんなことを言ってはいけませんね。でも、渡邊さんは写真家の眼で18人が社会起業家になった動機を鋭く写真と文で映し出していると思います。文章からも上に書いたことをわたしは感じてしまうのです。

「一隅を照らす」という言葉があります。

天台宗の開祖である最澄の言葉ですが、
「一隅を照らす」人とは、今自分が置かれている場所で最善を尽くして照らすことのできる人です。さらには、他者を照らすことができる人、そして最終的には社会を明るく光らせることのできる人のことです。

いい言葉ですね。

しかし仏教の中でも、最澄が「一隅を照らす人間を愛した小器量者」と言う批判の声もあったようです。

大きな光になれない負け惜しみかもしれませんが、わたしは「一隅を照らす」人間でいいと思っていますし、自分が関わる運動のモデルの根本のひとつはここにあると考えています。