太田直樹のブログ - 日々是好日

テクノロジーが社会を変える

戦略とは何か2006(その1)

ISLの野田さんに頼まれて、8月に30代向けコースで戦略についてセッションをすることになりました。私が午前の部で、午後はミスミの三枝さん。おまけに、「戦略のBCG」として面白いものを、というありがたいダメ押しのプレッシャーつきです。で、つらつら「戦略」というお題で何をやろうか、と考え始めた次第・・・

「戦略とは目的を達成するための手段や計画である」というのが簡潔な定義でしょう。しかし、ここで異論が出ます。「(今の)戦略って結局後知恵じゃないの。」その代表選手の1人が大前研一氏。2001年のダイヤモンドハーバードビジネスでは、ここまで言い切っています。

<25年前、『企業参謀』を世に出し、マイケル・E・ポーターやゲーリー・ハメル、あるいはクレイトン・クリステンセンらが洗練を重ねる前に、日本に「戦略論」を持ち込んだのは私である。その人間の責任として、自らかつての「戦略論」に終止符を打ち、この新しい世界の進み方を考えてみたい。>

うーむ。経営コンサルタントの端くれとして、何年か後にはこれくらいのことをわたしもぶちかましてみたいですね。今決めました。

大前氏はさらにこう言います。

<現在成功している企業を戦略という視点から見ると、優秀な人材を数人抱え、彼等を自由に泳がせることくらいしか、共通項は見当たらない。>

話は逸れますが、これが正しいとすると、狭義の「戦略コンサルティング」は商売にならないですね。だからマッキンゼーを辞められたのかもしれませんが。

それで、いまの時代に戦略を決するものは「人材」と「タイミング」だとし、「構想力」が大事だというのが大前氏の主張だと思います。

もう1人、「戦略は後知恵」論者の大御所にヘンリー・ミンツバーグがあります。ミンツバーグは、戦略は「計画される」ものではなく「創発的なもの」だとし、戦略プランニングではなくプロセスを重視します。大前氏との違いは、そのプロセスにおいてミドルの果たす役割に注目している点でしょう。

また、そもそもの「目的」に注目する議論もあります。「企業は何故存在するのか」というものですね。有名どころといえば「ビジョナリーカンパニー」あたりでしょうか。

次回は、戦略そのものの潮流について外観し、その次あたりでセッションのネタを考えたいと思います。