太田直樹のブログ - 日々是好日

テクノロジーが社会を変える

EdTechのこれから、注目している人たち

前回、EdTechは大きな編極点を迎えていて、テクノロジーが格差を広げるかが今度の課題と書いた。そんな中で、僕が面白いなあ、と思う人たちについて、一言ずつ。 小宮山利恵子さん(リクルート次世代教育研究院 院長) 言葉は悪いかもしれないが、いろんな意…

EdTechの現在地、300年の歴史が変わるか

少し前になるのだけれど、エコノミストで「未来の学び」という特集があった。副題は「テクノロジーと先生が学校を変える」。 www.economist.com 基本的には前向きな記事。現在地として、改めて確認できたのは。 ・集団で教室に机を並べて教育を受けるシステ…

地域における起業のエコシステム、「地方には余白しかない」

今月始めに大臣補佐官を退任*1して、しばらく地方をぶらぶら回ろうと考えていたら、とても興味深い記事*2を見つけた。起業のエコシステムが出来つつある20の地域の事例だ。 「地方には余白しかない*3」という、トーマツベンチャーサポートの前田さんの言葉が…

「下克上」はこういうところから起こるのかもしれない - 高知県山田高校

外から見たら普通なんだけど、中に入るとスーパーインテリジェントという高校にしたいんです。 と目をキラキラさせて話す、高知県立山田高校の濱田久美子校長は、(失礼ながら)ちょっと尋常ではない、くらい攻めている。「地域に開かれた教育課程」というの…

不服従を讃えよう by MITメディアラボ

MITメディアラボが主催する「不服従を讃えよう」というイベントが、7月21日にあった。動画が公開されたので、つらつら見ていた。 冒頭は、アルバート・アインシュタインと、後に非暴力抵抗運動で知られる政治学者のジーン・シャープが20代のときに交わした手…

イノベーションで中国に負ける日、グローカルに本気で賭ける

霞ヶ関で働き始めて、3回目の成長戦略の策定が終わった。1回目はただ眺めているだけ。2回目は、第4次産業革命に大きく舵をきることに多少なりとも貢献できたと思う。3回目はその実行について、いくつかの難所を越える目処がたった。 他方、イノベーションと…

エンジニアが「やれやれ」と言いながら、国の仕事をしているということ

先日、ある方と話をしていて「官僚は自分たちが使っているお金にもっと自覚をもった方がいい」と言われた。無駄遣いを止めろという一般論ではなく、例えば、行政がITに使っているのは、政府が5,000億円*1、地方が4,000億円だ。合わせて9,000億円。民間トップ…

同じところを見てるんやなあ、ローカルXテクノロジー

「地域IoT官民ネット」の設立総会が開かれた。簡単に言うとテクノロジー活用に積極的なイケてる首長の連合だ。そこに、事業を開発・展開するフィールドを求める民間が参加している。自治体の発起人は以下の方々。 青山剛(室蘭市)、室井照平(会津若松市)…

「やってみなはれ」を100の地域で - 地域IoT官民ネット設立

いよいよ明日(7月11日)、テクノロジーの社会実装を後押しする「地域IoT官民ネット」が設立される。設立総会の模様がストリーミングで中継されるので、時間があれば覗いてみてください(僕も最後に少し話します)。 www.youtube.com 難しい説明は資料を見て…

サイバー空間にも国境が必要か?岐路にある僕らができること

今日(2017年7月6日)、デジタルエコノミーにとって、とても大事なニュースがあった。日本とEUの共同声明だ。いや、チーズやワインが安くなるかも、という話じゃない。「個人情報の越境移転の十分性認定」というやつだ。 ここのところ、サイバー空間に国境線…

人口8千人の世界トップ10のファンキーな町トットネス、日本の地方もハジけるかも

エダヒロさん*1に呼んでいただいて、英国トットネスの取り組みから考える、という会に参加した。課題だらけの地方経済について、少し視点を変え、工夫をすれば、こんなにワクワクできるとは! 詳しくは、枝廣さんが「地方経済を取り戻す*2」というテーマで、…

「なぜ働くのか」という問いは大事だけれど(後編)

「パフォーマンスが良くて、エンゲージメントが高い人の比率」について、経産省の伊藤さんを招いた勉強会で、参加者からの発言があった。その企業では、従来はパフォーマンスがHRの中心だったが、最近、エンゲージメントをもう一つの軸として重視している。 …

「なぜ働くのか」という問いは大事だけれど(前編)

「仕方なく」あるいは「いやいや」働いているひとが、とにかく多い*1。さらに、そのことに無自覚である*2こともある。これは世界的な現象だけれど、特に日本がひどいときている。 そこで「パーパス(目的)」だ。マーク・ザッカーバーグが母校、ハーバード大…

不確実な未来。何をどう学ぶか - 100年変わらなかった学校が変わる?

正直に言えば「学習指導要領」について考えたことも、ましてや話をしたことは、これまでの人生でほとんどない。なんだけれども、学習指導要領が大きく変わり、学校も変わり、社会も変わる(かもしれない)ということについて書いてみたい。 「AIによって人間…

テレーワークの「テレ」って何?と思うけれど

7月24日に「テレワーク・デイ」をやる。3年後のこの日にオリンピックが開幕する。2012年のロンドン五輪では、ロンドン市内の企業の8割がテレワークを導入し*1、交通混雑などの課題を乗り越えた。 「テレワーク」は、正直に言えば、手垢のついた言葉かもしれ…

誰が2027年の世界を動かしているのか - このレポートは必読

iPhoneが出てから10年が経った。これからの10年はもっと変わる。僕らは、いま、その分岐点に立っていることがとてもよく分かるレポート*1だ。プロジェクトに参加した元同僚のReiruiさんの活躍には敬意を表したい。 議論の中で何度も浮かび上がったテーマは、…

揺れる個人、許す国家、ゆるい変革 - 経産省「若手PJ」とかつての「プロジェクトK」、「応仁の乱」の歴史観

経済産業省の「若手PJ」について、英語でブログを書いてみた。その前に、英治出版で議論をしていて、そこには壁一面に本棚があるのだけれど、2003年に霞ヶ関の若手官僚が立ち上げた「プロジェクトK」の本*1が偶然目に止まって、一読して、これは相当すごい変…

”会いに行ける官僚”、バズった経産省「若手PJ」とこれから

「立ちすくむ国家WS*1」に参加してきた。5月18日に、経済産業省のもっとも重要な産業構造審議会の総会で、若手官僚30人が作ったペーパー「不安な個人、立ちすくむ国家〜モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか〜」が配布された*2のは異例なことだし、その資…

生産性の謎は、AIがコンセントから電気をとるように行き渡ると解消する?

“Productivity Puzzle”とは、先進国において、少なくともリーマンショック以降の7、8年、長く見るとこの30年間、様々な技術進化があったにも関わらず生産性が上がっていないという命題だ。 Bill Janeway氏のエッセー*1によると、電化による生産性向上が…

GAFAの陰謀論!?シンギュラリティ仮説の背景を読み解く

宗教や文化といった背景から、シンギュラリティやテクノロジーについて捉えること。東京大学の情報学環の須藤教授のお話から興味を持ち、仏哲学者ジャン=ガブリエル・ガナシア氏の著作*1を読んだのだけれど、正直に言えば、警世の一冊なのかとんでも本なの…

「プライバシー」というのも過去の風変わりな表現になる(のかな)

2017年5月30日、改正個人情報保護法が全面施行された。改正のいちばんの目的は「データをもっと活用する」ということ。そのために「個人情報」や「匿名加工」の定義を見直し、「オプトアウト」など個人の権利も強化している。 21世紀は、データが石油だと言…

昔はAIについて心配してたよね〜という未来の分かれ目

ある知識人の対談*1で、ソーシャルメディアについて論じている。近年、ソーシャルメディアによって「コミュニケーションの自動機械化」が進んだ。スタンプや「いいね」を使ってコミュニケーションをしている人間にはもはや意識はない。われわれは「大衆はや…

「食うに困るアーティスト」という表現を、過去の風変わりな比喩表現にできないか?

”クリエイター”なる人たちと中学生による「横瀬クリエイティビティー・クラス」に週末参加した。言い出しっぺは、映像クリエイターで、ストーリーのある独特の作品を創る田村さん*1。彼自身も含めて海外でアワードを取るウェブデザイナーやアートディレクタ…

「目の独裁」から自らを解放する

週明けに我が家で9度目の引越しがあるのだけれど、情けないことに腰を痛めてしまって役に立たない。娘が目の前で、大学の履修科目の登録をしている。「グレートジャーニー」で知られる文化人類学の関野良晴さん*1の講義を受けるらしい。 うらやましい。そう…

デジタル革命に「べき乗則」は働くか?

「皆さんは、金子勇*1のことを忘れたんですか。日本は変わっていないじゃないですか。僕はビクビクしながら事業をやってますよ。」 総務省の有識者会議で、メディアでは強気の発言で知られるスタートアップの経営者が、強い語気でこう言った。2015年の秋。Io…

CIVIC TECH FORUMに参加して

CIVIC TECH FORUMに参加し、冒頭で話をさせていただいた。なんだか明るい気分になったので、8年ぶり*1にブログを再開してみた。 最初に「着眼大局着手小局」でありたい、と言った。 その心は、これから20年ほどで、暮らし方や働き方、ひいては社会が大きく変…

今年もやります@神戸大学MBA

1月から神戸大学MBAで「グローバル戦略」と銘打って講座をやらせていただく。 昨年は、全4回の講座を4名のパートナーが得意ネタを持ち寄って構成したが、(あたりまえだが)どうも寄席とは違って、「(講義と評価に)一貫性がない」ということで、なかなか厳…

Green Consumer

ある新聞の新年の企画の取材を受けた。お題は2020年の消費社会。私はBCGが最近行った「Green Consumer」という切り口から、消費行動がどう変わるかについて話をした。 そもそも何を「グリーン商品」と捉えるのだろうか。商品カテゴリーで言えば、一般消費財…

日本人にとっての社会イノベーションとは?

ISLがシュワブ財団と提携してSocial Entrepreneur of the Year(略称SEOY)の記念すべき第一回を開催することとなった。まずは伊藤さん、向谷さんをはじめ、このような快挙を成し遂げたISL事務局スタッフの熱意と行動力に敬意を表したい。 多数の応募者の中…

ものづくり企業の未来

更新が滞っており、各方面からお叱りを受けている。忙しいのかといえばそうなのだけれど、不眠不休で働いているかといえば4時間は寝ているし、娘の影響で「はがれん(鋼の錬金術師)」を大人買いして悦に入ったりしている。 ただ、古傷の膝を痛めてしまい、…

脱ガラパゴス化 〜 インドの未来

日経BPさんが主催されるセミナーで基調講演をさせていただくことになった。大勢の人前で話すのは昔から平気なのだが、決して話上手な訳ではない。なかでも、このようなオープンセミナーは、聴衆のバックグラウンドがさまざまで、ビジネススクールの講義など…

What they teach you at Harvard Business School

Pod Castで愛聴している番組のひとつに、BBCの"Peter Day's Business Worldがある。その中で、タイムリーなトピックで話題になっている本、What they teach you at Harvard Business Schoolの著者へのインタビューが面白かった。 実はこの本は未読なのだが、…

Be aware of a next explosion of the Internet

BBCをpod castで聞いていて、久しぶりにびっくりするニュースに出くわした。「インターネットの父」と言われるVint Cerf氏へのインタビューだ。最初は落ち着いた調子で質問していたBBCのキャスターが、Cerf氏の話が進むにつれ、思わず噛みながら「Let..Let m…

ウィーンでラーメン

1ヵ月ぶりのブログが「ラーメンかよっ」である。ここのところ何となく鬱々としていて珍しく妻に「最近あまり寝れなくて・・・」なんぞ言ってみたら「あら、グースカ寝てるわよ」と返り討ちに合う・・・言わなければよかった。若い頃のように、ある一瞬は世界…

念願のnanoに乗った

何だかよく分からない「つけ麺」を腹に納めて、予めホテルで調べてもらっていたnanoのショールームに向う。インドではSMS(ショートメール)が発達している。滞在中、運転手付きのレンタカーを雇っていたのだが、予約状況や車の場所などがいちいち私の携帯に…

ムンバイでもラーメン?

現地のハイテク企業の経営幹部とのミーティングがあり、インドの商都ムンバイまでやってきた。私にとっても刺激が多く、そのことはまたどこかで書きたいが、金曜に仕事を終え、ハイテク都市のバンガロールへ移動する中日、むらむらと「ムンバイでもラーメン…

社会起業家の卵達と ラウンド2

3週間の間をおいて、社会起業家を目指す40名弱のアソシエイトとISLで2回目のセッションをやった。前回は四国のソーシャルネットワーク「ドコイコ」について、慶応ビジネススクールのケースを使ったが、今回はアソシエイトの一人で、クリック募金のベンチャー…

社会起業家の卵達と ラウンド1

ISLでは、今年、社会起業家向けのプログラムを立ち上げた。何年も野田さんを中心にいろいろ、それこそ一体何を議論しているのか分からなくなるくらいに議論してきた取り組みである。 そんな思いのあるプログラムを若い二人のスタッフに任せて、野田さんご自…

どん底の会社を救う 〜 大企業経営者の行動規範

NHKのプロフェッショナル仕事の流儀のアンコールで弁護士村松謙一氏の放送を見た。村松氏は瀕死の会社−大企業から町の中小企業まで−を100社以上再建した人物である。その仕事に対する真摯な姿勢に心が打たれた。そして、生き方が胸にぐっときた。 http://www…

ソーシャルリーダーシップ@神戸大学MBA

神戸大学のMBAでBCG講座を作っていただいた。テーマはグローバル戦略。BCGの中部関西オフィスのパートナーが得意の持ちネタで4回の講義を分担している。第2回はSustainabilityというテーマで、ソーシャルリーダーシップについて議論した。(グローバル戦略で…

学び続ける人々

六本木ヒルズのライブラリーで講演させていただいた。お題は昨年翻訳した「かすかな兆候を見逃すな」。かなり抽象的なテーマでこのような機会をつくっていただいたファーストプレスの上坂氏に感謝申し上げる。また、活発な議論に参加していただいた200名近く…

またISLのゼミが始まる

ISLのリーダー育成プログラムの締めくくりになる経営者ゼミが、今年も始まる。参加者は、各出身企業の社長からサインをもらっている、ホンマモンの経営者候補である。ゼミのガイダンスにこうある。 「今すぐに真剣で斬り合え」 約半年に亘って真剣勝負をし、…

グローバルマネーの動向とSWF

年末、LBSの同級生である長谷川さんからこの本を送ってもらった。みずほ総研の市場調査部長で、精力的に活動している。お題は、最近存在感を急速に増しているSWF(政府系ファンド)に焦点をあてたグローバルマネーの最近の動向だ。経営トップと話していても…

脱ガラパゴス−「ものづくり」から「ものがたり」へ

12月号のダイヤモンド・ハーバードビジネスの特集「優位」の教訓はは読み応えがあった。金融危機に端を発する世界的な経済の混迷の中、悩めるビジネスリーダーに勇気を与えてくれるのではないだろうか。特に、CEOが自ら語る論考には、読んでいて思わず身をの…

立川談志 71歳の反逆児

談春師の『赤めだか』を読んで、ちょうどいい具合に、NHKで談志師匠のドキュメンタリーをやっていた。録画してあったものを夜中に観る。最後にはなぜか正座していた。 テーマはいろいろある。一つはもちろん落語。 「落語とは人間の業の肯定である」と、弱冠…

ISLの総会で世界の行く末について考える

今日、年に一度のISLの総会があった。NPOがここまでできるのか、というところまでISLも成長してきた。事務局の方々の舞台裏での大車輪の活動には本当に頭が下る。不肖私も、200余名の参加者の声を拾うフロア司会を(いつもながら直前の依頼で)引き受けさせ…

世の中大変なことになっていますが

BCGから出る久々の戦略本だ。翻訳のためにこの夏山に篭った(海だったかな)。まえがきにも書いたが、それほど目新しいキーワードが並んでいるわけでもない。また、すぐに役に立つハウツー本でもない。どんな本かと言うと、今後10年の間に競争優位の源泉にな…

下る一方の株価 日本企業はダメなのか?

日経平均が下りつづけている。経営リーダーの危機感も高まっている。企業の価値を簡便に測る手段として企業の時価総額というものがある。日本では、株価はよく分からないもの、あるいは、高い時価総額を武器に買収を仕掛けられるなど、あまりポジティブなイ…

South Californiaのラーメン職人

土曜の夜、LAに着いた。アテネからミュンヘン経由で15時間。どっぷり疲れた。アテネでの仕事は、年1回のBCGのテクノロジー・メディア・テレコム(TMT)グループの会議。成田から夕方にバンコクに飛んで、夜行便に乗ると早朝にアテネに着く。こちらは20時間ほ…

ラーメン三景 2008年夏

鈴本夏祭りに行かなかったのに、なんと夏が終わってしまった。無念である。悔しくて週末東京の本宅に居るときには落語のビデオを見ているが、先日観た志の輔師匠の「死神」は秀逸だった。談志の立ち居振る舞いが見て取れるのは当然として、師の独自の工夫が…